T A D A S H I I M A I Pianist
記事 (コンサートレビューなど)
2015年 7月
青木尚佳(ヴァイオリン) 今井正 デュオリサイタル
フランス、メゾン=モジ
レビュー2部
1 ポンデザール(企画者)は今シーズンを大きな成功とともに幕開けした
23歳のロンティボー=クレスパン国際コンクールで入賞した青木尚佳とコンサートピアニスト今井正の演奏を聴き、聴衆はすぐに魅了された。
マスターの域に達する解釈をシューベルト、ベートーヴェンでまた ドビュッシーやラベルの影響をうけた武満の作品に見た。
2 『青木尚佳と今井正が聴衆を沸かす!』
会場は満員、フランスでもっとも大きいフェスティバルを作るといっても過言ではない『ポンデザール』が企画する演奏会シリーズの今シーズン最初のコンサートが開催された。
バラエティー溢れるプログラム:前半にシューベルトのソナチネイ短調、そしてベートヴェンのソナタ第8番と、古典の作品、
後半は武満の妖精の距離、ラヴェルのソナタ、そしてワックスマンのカルメン。大きなプログラムにもかかわらず精気が衰えることなく最後まで情熱を込めて演奏。
会場の真中で23歳の青木尚佳はピアニストの今井正と共に聴衆を驚愕させた。
2015年1月22日
ソロ リサイタル
カールアイル、UK
若いピアニスト今井正は会場の多くの人を喜ばせ、興奮の渦を作った。
19世紀から20世紀前半に渡るレパートリーを豊かに幅広く表現した。
数々の国際コンクールで受賞歴を持つ今井正は、
前半のベートーベンの月光ソナタ、シューマンの子供の情景そして、ショパンの素晴らしい舟歌で、聴衆に彼の並ならぬ叙情性と詩的な想像力を見せてくれた。 ベートベンでは細かなところまで素晴らしい洞察力を持ちながらも全体を見通し、最終楽章ではとてもダイナミックであった、究極に留まる事を知らないこの曲=ベートヴェンのおさまらない激闘=を見事に表現 最初の2楽章とのコントラストと全楽章を通じて大きな建築物をきづきあげた。
シューマンとショパンでは素敵な叙情的魅力にあふれた。特に有名な子供の情景の『トロイメライ』と『詩人は語る』で。
前半の最後、ショパンの舟歌では本物の叙情性が見る事ができた。短調の部分から長調に変わるところで魔法がかかったかのようだ。
後半、リスト作曲 バッハの『泣き嘆き悲しみおののき』による変奏曲 では彼のベストの表現が見れた、
技術的な挑戦は簡単に見えるほどに克服されていて、泣けてくるほどの痛みから慈しみや慰めまで感動的に引き出した。
ドビュッシー『映像第2集』では繊細なタッチと色のレイヤーが繰り出され、
最後のバルトークのソナタ では奮起、覚醒させるような情景を髪の毛が吹き飛ぶような手の飛びかう様や打楽器の興奮するリズムで奏でた。
アンコールに今井正は、あまりエネルギッシュではないがとてもチャーミングなアルベニスのタンゴ(ゴドフスキー編曲)で終結。
グラハム ロバートソン
2009年10月18日
ハン・スジン(ヴァイオリン)とのデュオリサイタル
皆がそこにいて良かったと思えた、それは希少な経験であった:ハン・スジンと今井正によるリサイタル
二人の若い演奏家はバッハでは音楽的な繊細さと強靭なテクニックを持ちそれぞれの楽器を光らせた。
ベートーヴェンの2番のソナタでは、とてもメロディックで良いユーモアを持たせ前半を終了。
後半は、国も時代も変え、フォーレのソナタ第1番で始まった、フォーレの初期に見られる若々しさはエレガンスと親密さで正しく表現された、二人が最も輝いた瞬間であった。サンサーンスの序奏とロンドカプリチオーソでは華やかしさと繊細さの行き交う花火を見せ、演奏会は終了した。
ローズマリー ウィスビー
2010年 4月24日
ヤロスラフ ナジュッツキ(ヴァイオリン)とのリサイタル
先週土曜日のコンサートでは、二人の若い演奏家によって、普段よりも興奮する演奏会になった。
ブラームスの2番のソナタで幕を開けた瞬間、彼らの才能、感情移入、音楽性、技術は客を惹きつけた。
ヴィエニアフスキの『伝説』タルティーニの『悪魔のトリル』ではエキスパートとしてのヴァイオリンの技術が光り、それはまた今井正によって賞賛に値するサポートとスタイルの解釈とともに奏でられた。
3つのよく知られたクライスラーの小品(美しきロスマリン、ウィーン奇想曲、愛の悲しみ)、古いウィーンの女性をワオと言わせるような雰囲気が美しく表現された。
プロコフィエフの2番のソナタは作曲者のいささか幸せで希望のみえる曲、この曲は二人の演奏家によってエネルギー溢れる演奏で表現された。素晴らしい楽観性の2楽章、それは静かな叙情性溢れる3楽章と素晴らしいコントラストを作り上げた。
またそれが最終楽章で勝利に向かう段階をみせ、ソナタ全体で一つの物語であることを明確に打ち立てた。
観客は魔法にかかったかのようだった、観客はこの国際的に認識のある二人の音楽家に有り難みを深く感じた。
また観客はアンコールに この二人によって ドビュッシー『美しき夕暮れ』を聞くことができた。
皆、彼らの演奏をまた聞くことができるのが遠い未来でないことを望んでいる。
グェネス、デレック パイン
2010年 5月1日
ヤロスラフ ナジュッツキ(ヴァイオリン)とのリサイタル
ブラームスの2番のソナタで夜会は開かれた。
このソナタでは二人がブラームスの上のこもった、そして長いフレーズを見事に作り上げた。
音の会話、美しく伸ばされた音、綺麗に形取られたエピソードは全てヴァイオリンとピアノがしっかり噛み合っていた。
とてもハイレベルなアンサンブルであった。
プロコフィエフの2番のソナタではこの多才な演奏家によってプロコフィエフの一線を越えたメッセージや感情をも素晴らしく表現した。
普通に行かない冗談ぽいフレーズや、その他のメロディーの柔軟さ、高音で長く伸ばして天にも昇るような時、低く太い音を出すとき、
どんな時でも今井正は奴隷になることなくそこに一緒にいた。
驚きの演奏家達だ。
休憩後はクライスラーの有名な3つの小品、は生き生きと、また美しく磨かれ表現された。表現が柔軟で、それはそれは多様であった。
最後の二曲 ヴィエニアフスキの『伝説』とラヴェルの『ツィガーヌ』も観客を引き付けて離さなかった。
興奮の中、アンコールはまた、この夜を終わるにふさわしい選曲と雰囲気作りがドビュッシーの『美しき夕暮れ』で醸し出された。
ローズマリー ウェストウェル